繰り返す腹痛や下痢、便秘
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘といった症状が繰り返し現れる疾患です。日本での有病率は10~20%と言われています。ストレスが原因で症状が悪化することが多く、日常生活に支障をきたす場合もあります。
過敏性腸症候群の主な症状
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腹痛や腹部不快感:腸の収縮や異常な動きによって、痛みや不快感が引き起こされます。排便後に痛みが軽減することが多いです。
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下痢(頻回の水様便):急に強い便意を感じ、トイレに駆け込むことが多いです。食事の後やストレスを感じた時に症状が現れることがあります。
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便秘(排便の困難):排便回数が減り、硬い便が出ることがあります。お腹が張ったように感じる場合も多いです。
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下痢と便秘の繰り返し:下痢と便秘の症状が交互に現れるタイプもあります。
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腹部膨満感やガス溜まり:お腹が張った感じが続いたり、おならが頻繁に出ることがあります。
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粘液便:排便時に粘液が混じることがあります。
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ストレスで悪化する症状:精神的な負担が腸の働きに影響するため、ストレスや緊張により症状を悪化させる可能性があります。
- 症状が長期に続いている:これらの症状が1カ月以上続いている場合、過敏性腸症候群の可能性があります。
ただ、これらの症状があるからといって必ずしも過敏性腸症候群とは限りません。他の病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せずに医師の診断を受けましょう。
なぜ起こるの?
過敏性腸症候群の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。
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ストレスや不安
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腸内環境の乱れ
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過去の感染症や腸の炎症
当院での診療内容
過敏性腸症候群の治療は症状や原因に応じて多岐にわたります。当院では、患者さま一人ひとりの症状や生活に合わせた治療を提供しています。
1. 食生活の改善指導
症状を引き起こしやすい食べ物(例:脂肪分の多い食事、小麦、乳製品など)を減らして、消化しやすい食べ物(例:米、野菜、魚など)を中心に食べることをおすすめしています。また、腸内環境を整えるため、乳酸菌やビフィズス菌を含む食べ物の摂取もおすすめしています。他に、過度な飲酒、刺激の強い香辛料の摂取はできるだけ控えましょう。
便秘型の過敏性腸症候群には、水溶性の食物繊維(例:りんご、さつまいもなど)の摂取が有効と言われています。
2.規則正しい生活習慣のサポート
睡眠や運動を含む全体的な生活リズムを整えるサポートを行います。
睡眠不足や不規則な生活は、腸の働きをコントロールする自律神経に悪い影響を与えます。特に、腸の動きを調整する副交感神経の働きが低下すると、下痢や便秘、腹痛などが現れる可能性があります。睡眠不足は、ストレスにもつながり、過敏性腸症候群の症状悪化の原因にもなるため、十分な睡眠や休息をとるように心がけましょう。
適度な運動は、腸の働きを整える効果があります。ウォーキングや軽いジョギングなど無理のない範囲で毎日行うことがおすすめです。
3.心理療法
ストレスは、過敏性腸症候群の症状を悪化させる要因の一つです。リラックスできる時間をつくったり、趣味の時間を大切にしたり、深呼吸や軽いストレッチをすることでストレスが緩和されるといわれています。
- マインドフルネス:心身をリラックスさせ、症状を和らげる方法を指導します。
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認知行動療法(CBT):ストレスや不安を軽減し、症状を管理するための心理療法を取り入れることがあります。
4. 薬物療法
生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合や、薬による治療が必要と医師が判断した場合は、薬による治療を行います。症状や体質に合わせて、医師が適切な薬を処方いたします。
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腸の動きを整える薬:腸の収縮を抑える薬や腸の働きを促進する薬を使用します。
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抗けいれん薬:腸のけいれんを軽減する薬が効果的な場合があります。
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下痢や便秘の症状を緩和する薬::症状に合わせて下痢止め薬や便秘薬を処方します。
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抗うつ薬や抗不安薬:腸の働きが脳に影響を与えたり、逆にストレスや不安が腸の調子を乱したりすることがわかっています。そのため、ストレスや不安が原因の場合は、抗うつ薬や抗不安薬を使って脳の働きを調整することがあります。
過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、治療をしないまま症状が続くと、ストレスや不安が増え、さらに症状が悪化することがあります。治療方法を知り、生活習慣や心のケア、薬を上手に組み合わせることで、症状を軽減させることができます。繰り返す腹痛や下痢、便秘、過敏性腸症候群でお悩みの方は、早めの受診をおすすめします。一人で悩まず、まずは一度ご相談ください。
お問い合わせ
当院では、患者さまが安心して相談できる環境を整えています。繰り返す腹痛や下痢、便秘でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
過敏性腸症候群(IBS)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 過敏性腸症候群(IBS)とは何ですか?
A.過敏性腸症候群(IBS)は、腸に炎症や潰瘍などの明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛、下痢、便秘などの症状が繰り返し起こる病気です。
Q2. どんな症状が現れますか?
A.過敏性腸症候群の症状は人によって異なりますが、主に以下のようなものがあります。
- 腹痛・腹部不快感
- 下痢(急な便意、頻回の水様便)
- 便秘
- 下痢と便秘の繰り返し(交互に症状が出る)
- 腹部膨満感やガス溜まり(おならが頻繁に出る)
- 粘液便(排便時に粘液が混じる)
- ストレスで悪化する症状
Q3.過敏性腸症候群の原因は何ですか?
A.はっきりとした原因は分かっていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。
- ストレスや不安(腸と脳は密接に関係しており、腸は、精神的な影響を受けやすいことがわかっています)
- 腸内環境の乱れ
- 過去の感染症や腸の炎症
Q4. 過敏性腸症候群はどのように診断されますか?
A.症状の経過と診察に基づいて診断されます。炎症性腸疾患、大腸がんなどと区別するために、血液検査や便検査、大腸内視鏡検査などの検査を行うことがあります。(当院では、大腸内視鏡検査は行っておりません。検査が必要な時は、他の医療機関を紹介しております)
Q5. 過敏性腸症候群は完治しますか?
A.過敏性腸症候群は長期的な管理が必要な疾患ですが、適切な治療や生活習慣の改善で症状を軽減・コントロールすることが可能です。
Q6.過敏性腸症候群の治療方法は?
A.治療は、一人ひとりの症状や生活に合わせて行っています。
- 食生活の改善(消化しやすい食事の提案)
- 生活習慣の見直し(規則正しい睡眠・運動習慣のサポート)
- 心理療法(マインドフルネスや認知行動療法など)
- 薬物療法(腸の働きを整える薬や、ストレス管理のための薬を処方)
Q7. 過敏性腸症候群の症状を軽減するための食事は?
A.ご飯、野菜、魚、ヨーグルト、発酵食品、水溶性食物繊維(りんご・さつまいも)がおすすめです。脂っこいもの、小麦、乳製品、香辛料、カフェイン、アルコールは、症状が悪いときは避けたほうがよいです。
Q8. 受診した方がよいのはどんなときですか?
A.以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- 1ヶ月以上症状が続いている
- 体重減少や血便がある
- 市販薬を試しても改善しない
- ストレスで症状が悪化し、日常生活に支障をきたしている
Q9. 過敏性腸症候群の症状があるとき、普段の生活で気をつけることは?
A.症状を和らげるために、以下のポイントを意識しましょう。
- 規則正しい生活:特に睡眠と食事のリズムを整えましょう。睡眠不足はストレスとなり、腸の活動を悪くする可能性があります。
- リラックスする時間をつくる:ストレスをためないようにし、ストレスや不安、緊張を和らげましょう。趣味の時間を持つこともおすすめです。
- 適度な運動を習慣にする:軽い運動は、ストレス軽減にもなりますし、運動は腸の活動をサポートします。ウォーキングなどもおすすめです。
- 腸内環境を整える食品を食べる:腸内環境が崩れると症状が悪化する可能性があります。普段から、ヨーグルトや発酵食品などを積極的に食べましょう。
Q10. 過敏性腸症候群とストレスの関係は?
A.腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸の働きが脳に影響を与えたり、逆にストレスや不安が腸の調子を乱したりすることがわかっています。例えば、ストレスを感じるとお腹が痛くなったり、下痢や便秘になったりすることがあります。これは腸と脳が自律神経やホルモンを通じて相互にやり取りをしているためです。過敏性腸症候群では、腸と脳バランスが崩れることで、腸の過敏性が高まり、腹痛や便通異常が起こると考えられています。そのため、ストレスのコントロールが、症状の改善につながるといわれています。
Q11. 過敏性腸症候群は何科を受診すればいいですか?
A.過敏性腸症候群の症状が気になる場合は、消化器内科を受診してください。当院でも診療を行っていますので、お気軽にご相談ください。
くらしケアクリニック城東では、過敏性腸症候群(IBS)の診療を行っております。お気軽にご相談ください。